私とハープのこと②
心にぽっかりと穴が空いたままでしたが、毎日は忙しくやってきます。
ある時、新しく購入したハープで演奏会にのぞみましたが、指が思うように動きませんでした。
イメージしている音色と、実際に鳴っている音色の違いに、思うような演奏が出来ませんでした。
演奏会のあと、あぁもうダメかもしれないと、ひどく落ち込みました。
そんな時、演奏会を聴きに来てくれていた、他の楽器を教えている先生が、こんな言葉を掛けてくれました。
「自分の周りに、災害で楽器を失った奏者を見たことがないよ。
楽器を失って自分が一番傷ついているのに、それでもステージに立ち、みんなを癒そうとしている人も見たことがない。
あなたは、すごい経験をしているんだよ。
この経験はいつか必ず、人の為に役立つ時が来るから、ここで止まったらダメだよ。
これを糧に頑張らないと、前を向いて!」
今振り返ると、この言葉にどれだけ救われたかわかりません。
私は、はっと我に返り、こんな所で立ち止まっていたらいけない!と気持ちを切り替えることが出来ました。
教室にあった6台のハープ全てが水に浸かり、それぞれ不調が出てしまったのですが、一番大切にしていた私の相棒が、完全に壊れてしまい修理が出来ないと言われてしまっていたのです。
私が相棒と呼ぶハープは、ブビンガという木材で、アメリカのメーカーの楽器です。
ブビンガは、2017年1月2日よりワシントン条約(自然保護のための国際条約)により輸出入に規制がかかってしまっていたので、それ以降日本では、幻の楽器となってしまっていたのです。
なので、同じ楽器をまた買う、ということが出来なかったわけです。
~続く~
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