表現って何?
一枚の葉っぱを想像してみてください。
その葉っぱは、どんな色をしていますか?
枝についていますか、それとも散っていますか?
どのように散っていますか?
風は吹いていますか?
雨は降っていますか?
その場所はどんな風景ですか?
たった一枚の葉っぱからでも、沢山の情景を思い浮かべることが出来ます。
ここまでイメージが出来たら、あなたが思い浮かべた一枚の葉っぱを、音で表現して下さい。
これは、私が学生の時に、ウィーンで現地のピアニストから実際に受けたレッスンの1シーンです。
葉っぱのシチュエーションを次々に変えて、イメージしたものを、ドの一音だけを使って表現するというものでした。
難しいんです。これが。
自分は弾いたつもりでも、相手にそれを伝えるのって、自分の中のイメージをしっかり持つことと、それを表現するテクニックがないと出来ないのですよ。
逆に言えば、たったひとつの音だけで、何通りものドを奏でることが出来るのです。
こういうレッスンは、生まれてはじめての経験でした。
「日本の音楽教育は、表面のテクニックばかりを詰め込むように教えている。
音楽は心の表現です。」
と、その先生が言われたのがとても印象的でした。
日常にある小さな出来事、その奥にある沢山のことを感じて受け取る心、感受性。
それを、テクニックを使って楽器で表現する。
こうやってはじめて、立体的な”音楽”が生まれます。
さて、この曲をどんな風に演奏しようかな。
大きなテーマを決めたら、
前奏はこんな雰囲気で。
ここからは情熱的に。
このフレーズは、鳥のさえずりのように美しく。
この音は大切に、柔らかく弾きたいな。
そうやって方向性を決めて、あとはそれを再現出来るように練習をします。
練習に欠かせない基礎というものは、音楽を完成させる為の道具、みたいなものです。
曲というのは、沢山の基礎を使って演奏をします。
基礎練習の重要性がわかりますね☆
レッスンで、「表現をしましょう。」と言われても、何のことやら??な方も多いと思うので、今日はそんなお話でした。
私たち音楽を志す人たちは、「感動をして生きなさい。」とよく言われるのですが、結局のところ、普段の生き方、何を見て何を感じて、何を思って生きているのかが音楽に表れるということです。
感動するって大袈裟なことではなくて、日常の小さな出来事に、ほんの一時心を傾けたり、思いを馳せることで十分だと思います。
音楽にゴールはありません。
自分の心が成長をするのと同じように、演奏も変化し続けます。
年を重ねても、磨き続ける宝物があるって素敵なことですよねぇ(*^.^*)
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